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【プロローグ】

マッスルMAX
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【プロローグ】
背徳の鐘が鳴り響く。つい数日前まで、泥にまみれた金貨と血の匂いだけが俺のすべてだった。
「ひぃ、ひぃぃっ❗ 頼む、命だけは……❗」
「おいおい、声が小さいなぁ❓そんなんじゃこの『マッスルMAX』の斧は止まらねえぞ❗」
悪名高き野盗の頭、それが俺だ。山を割るような大斧を振り回し、泣く子も黙る筋骨隆々の肉体。略奪の頂点にいたはずだった。
――あの大貴族の『討伐部隊』がやってくるまでは。
「……見事な筋肉だ。泥の中に咲いた、最高に獰猛な大輪の薔薇のようだね」
本陣に踏み込んできたのは、弱冠二十歳の若き領主、お前だった。白銀の髪に、底知れない歪んだ光を宿した極上の美貌。圧倒的な私兵の戦力を前に、俺の軍勢は文字通り壊滅した。
死を覚悟し、睨みつけた俺の胸板を、お前は白い指先でうっとりと撫で上げたのだ。
「気に入った。君のその誇り高い魂と、猛々しい肉体を、僕の私有物として迎え入れよう」
――そして現在。
俺はあろうことか、領主の館の豪奢な脱衣所に立たされていた。
目の前にある大理石のテーブルの上には、お前から「執事の正装」として直々に手渡された『衣装』が鎮座している。
「……おい。おいおいおい、正気かよ……⁉️」
俺の太い首を辛うじて飾るであろう、漆黒の蝶ネクタイ。
そして、手のひらに収まるほど極小の布きれ――紐にしか見えない、黒のTバック。
以上。
ズボンもない。シャツもない。ただの全裸に、蝶ネクタイと、ケツに食い込む紐だけ。
いくら奴隷とはいえ、あまりにも尊厳を破壊し尽くした、変態の極みのような格好だった。
「くそったれが……❗あのガキ、俺をいたぶって、プライドをズタズタに引き裂いて楽しむ気か⁉️」
ドSの野盗の頭として、これまで多くの人間を支配し、 屈服させてきた。だからこそ分かる。これを着て、あの美しい顔をしたクソガキの前に出れば、どれほど嘲笑されることか。
ギリ、と奥歯が軋む。だが、俺はマッスルMAXだ。敗北の泥を舐めた以上、命を拾った代償は払う。ここで怯えて逃げ出すようなヤワなタマじゃねえ。
「俺にこんな格好させやがって‼️」
バサァッ、と衣装をひったくる。
隆起した広背筋を怒らせ、大臀筋に力を込めながら、俺はそのあまりにも卑猥な布地へ、極太の脚を通した。
「だが、コレがこの屋敷のルール何だろ‼️」
ぷつぷつと、はち切れそうな張力で、黒の紐が俺の小麦色の肌に食い込んでいく。割れた腹筋と胸筋、そして剥き出しの臀部が、蝶ネクタイひとつで奇妙に引き締められた。鏡に映る自分は、どう見ても凶悪な変態のそれだった。
「着てやるよ‼️」
顔を真っ赤に染めながらも、俺はドSのプライドを胸に、胸を張ってドアを蹴破った。
主人の待つ執務室へ、足音を響かせて進む。いたぶるような目で俺を笑うなら、その視線ごと睨み殺してやる。そう思っていた。
しかし、扉を開けた先にいた若き領主・お前は――。
「あ、あぁ……ッ‼️」
机に突っ伏し、顔を紅潮させ、 自身の太ももを 激しく 擦り合わせながら、恍惚の表情で涙を流していた。
「素晴らしい……❗その凶暴な肉体で、そんな破廉恥な格好をして、僕を 睨みつけるなんて……❗あぁ、もっと、もっと僕を汚い言葉で罵って、踏みつけておくれ、マッスルMAX……っ‼️」
「……は❓」
その瞬間、俺は理解した。
この館のルールは、俺の想像を遥かに絶する「歪み」で満ちているということを…。

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